Vol.6 トレーナー留学:重原 耕平さん
カナダ・グレンライオン・ノーフォーク高校 → カナダ・アルバータ―大学 → 独立リーグ・エドモントン・キャピタルズ → カナダ・マウントロイヤル大学大学院
高校から単身カナダにバスケットボール留学。大学は以前から興味のあったスポーツ医学を学び、学生ながらにして野球カナダ独立リーグ球団のヘッドトレーナーに就任。現在、CATA(カナディアンアスレティックセラピスト協会)認定のアスレティックセラピストを目指し、大学院で奮闘中。
_____________________________________________
バスケットボール選手から野球チームのトレーナーになった異色の経歴を持つ重原さん。自分の置かれた状況の中で、常に全力を尽くしてきたカナダでの10年間についてお聞きしました。
_____________________________________________
幼少期に決めた海外留学
幼い頃から両親の影響で、いずれは海外留学をするものだと考えていました。中学生の時に1ヶ月の短期留学を経験し、高校は海外の学校に進学することを決意しました。この時点で、自分自身が日本の高校と大学に行くイメージは想像できなかったですね。海外へのきっかけを作ってくれて、その上サポートしてくれた両親には本当に感謝をしています。
カナダ留学の始まり
英語の勉強とバスケットボールがやりたくてアメリカ行きを希望していましたが、2001年9月に起こった同時多発テロの影響で留学先をカナダに変更しました。カナダの公立高校への進学が決まっていましたが、すでに留学している従兄弟のサポートにより「バスケットボール推薦」という形でカナダの私立名門高校に入学することができました。大学進学のためにしっかり勉強する学校だったので、その分英語の壁は高く、最初はスピードについて行けなくて苦労しました。しかし話すことを躊躇していてはいけないと思い、積極的にコミュニケーションをとることを心掛けました。カナダでは文武両道の考えが浸透していて、もし成績が落ちればバスケをさせてもらえなくなりますから、勉強も必死で頑張りましたね。
トレーナーを目指すための決断
バスケットボールが強い高校で州大会で2年連続で準優勝になりましたが、私自身は現役引退を決意しました。大学で以前から興味のあったアスレティックセラピストを目指すためです。大学ではバスケ部の学生トレーナーとして所属し、学内のクリニックで実習を続けていたところ、なんと野球の独立リーグチームのエドモントン・キャピタルズで学生トレーナーインターンとして帯同するチャンスがやってきたのです。以前からインターンをしたくて、学部の教授に相談していましたが、球団のヘッドトレーナーをされていた日本人の先輩からのオファーでした。ここでもよい出会いに恵まれたと実感しています。
夢と苦悩と成長の3シーズン
先輩はすでに日本の大学でもスポーツトレーニングの勉強をしていて、それまで学内でしか実習経験が無く、右も左も分からない私を親切に指導してくれました。また、独立リーグの選手たちも私を1人のトレーナーとして受け入れてくれたので、チームに溶け込むことができました。2年目はようやく周りが見えてきて、大きい遠征にもついていくようになり、選手との信頼関係を築くことができました。そして3年目、トレーナーが私一人となりヘッドトレーナーとしてのシーズンが始まりました。やはり、状態の悪い選手を優先的にみることになるのですが、周りの選手から「俺もみてくれ」との要望が殺到。1人でシーズンを通して回していくことの難しさを知りました。自分のことは犠牲にしてもいいから選手に納得してもらえるように対応をする、これだけは絶対に守ろうと心に決めました。
資格は通過点
3シーズンを終えたところで、チームがメジャーリーグの傘下に入るための準備期間に入りました。私は大学を卒業し、トレーナーの資格を取るためにCATA(カナディアンアスレティックセラピスト協会)の認定校である大学院で、アスレティックセラピストの資格を取るための勉強を始めました。資格取得後は、アスレティックセラピストとして野球界で上を目指したいと思っています。目標はメジャーリーグのチームで働くことですが、最終的にはバスケットボール選手の専属トレーナーになる夢も忘れていません。どんなケガや症状にも対応できる知識をつけるために、多くの選手と出会ってもっと経験を積みたいと思っています。
「後悔」という言葉は無い
私はカナダに留学して10年目になりますが、トレーナーになるために海外留学しようと考えているなら、できるだけ早く行くことをお勧めします。それは、語学習得をスムーズに行うためです。スポーツトレーニング自体の勉強は、英語ができないと始まりません。それに留学を目指している人に共通して言えることは、留学して何がやりたいかを明確にすること。私の周りでもこれをやるぞ!と決めている人が、留学を成功させています。私もまだまだ勉強と夢の途中ですが、「後悔」という言葉は全くありません。うまくいかないこともありますが、そんなことは気にせず、夢に向かって進んでいきたいです!
【取材・文】金木有香
【運営】ベースボールコミュニケーション(BBC)
« Vol.5 トレーナー留学:櫻井 剛之さん | トップページ | Vol.7 野球留学:藤田 祥平さん »
「トレーナー留学」カテゴリの記事
- Vol.24 トレーナー留学:大村 夕香里さん(2020.03.27)
- Vol.21 トレーナー留学:大貫 崇さん(2016.11.28)
- Vol.17 トレーナー留学:大久保 研介さん(2016.02.24)
- Vol.15 トレーナー留学:一原 克裕さん(2015.06.26)
- Vol.14 トレーナー留学:高橋 雄介さん(2015.01.06)